美咲ちゃんとは3年前、高校2年の時、焼肉屋のバイトが同じになって、ひとつ年上の美咲ちゃんは、当時受験生だった。


「受験生なのにバイトって、……偉いですね。」

「えー、そんな事ないよ。本当に偉い人は、今勉強してる人だなあって思うし。親にもそろそろ勉強に専念したらって言われるし、バイトは正直、逃げなんだよね。」


 確か最初の頃、こんな会話をしたのを覚えている。


 逃げだとは言っていたけど、バイト中しょっちゅうあくびを殺していたし、バイトの後も毎晩遅くまで頑張っているのかなと思ったら、やっぱり凄いと思った。


 美咲ちゃんは2年先輩だったから、俺の教育係としてよく仕事を教えてくれた。


 優しくて、笑顔が可愛くて、……俺は、気がついたら、美咲ちゃんのことばかり見ていた。


 全体的に仲のいいバイト先で、よく食事会をしたり、ボーリングやカラオケ、遊びに行ったりすることが多く、美咲ちゃんとの仲も、自然に深まっていった。


 だけど俺は、バイトがやりにくくなるのが嫌だからと、告白することは避けていた。


 もしうまくいかずにバイトを辞めてしまえば、美咲ちゃんとの接点はなくなってしまう。


 それが嫌だった。