俺、共犯者と秘密共有中。

「……何言ってんの。」


 言いながら、朱音の射るような視線から思い切り目を逸らしてしまって、この時点で認めてしまったようなものだった。


 そして何も言わない朱音を横目で見ると、いつもの無表情が、少し怖く見えた。


「ん〜、今までなんとなーくそうかなあ、って思ってた感じなんだけど、

 さっきとか明らかショック受けてたし、……て言うか純くん、前から思ってたけど表情作るのヘタクソだよ。

 バレてないつもりかもしれないけど、こっちからしたら丸わかり。」


 朱音の言う通り、相手にはバレていないだろうと正直思っていて、う、と言葉を詰まらせる。


「付き合い浅いあたしにもわかっちゃうんだから、見苦しいんだしやめといたほうがいいと思う。

 まあ、聖也はバカだから、微妙なところだけど。美咲さんも、天然ぽいし。」

「……うん、おかげで助かってるよ。」


 俺が苦笑いを浮かべると、朱音はまたため息をついた。


「……言わないの?これからも、ずっと、耐える気なの?」

「まあ、……今のところは……。」


 俺の答えが気にくわないのか、朱音はふーん、と憮然とした態度をとると、少し大袈裟に席を立ち、


「バッカみたい。」


 そんな捨てゼリフを吐いて、去って行ってしまった。


 最初、朱音は大学で、孤立していた。


 しかし、聖也と小学校中学校が一緒だったらしく、聖也繋がりで、俺とも仲良くなった。


 無表情で、あちらの感情は読み取りにくいせいか、なかなか女友達が出来ないらしい。


 そのくせ、他人に対しては結構鋭い。


 なんだか、美咲ちゃんとは反対だ。


「おっそろしいヤツ……。」


 俺はそんな独り言を呟きながら、沈んだ気持ちを抱えて、重い足取りで家路についた。