俺、共犯者と秘密共有中。

 その日聖也は、もう何度目かわからないが、美咲さんに告白してくる、と言って、何処かへ消えた。


 俺は大学の食堂で朱音と、どうせまたフラれて泣いて帰って来るだろう、と笑いながら言っていた。


 俺は完全に、油断していたのだ。


 そしてどれくらい経ったかは覚えていないが、いつもより少し遅めに帰ってきた聖也は、俺の予想とは大きく違い、泣いているどころか、歯を見せて笑っていた。


 ……一瞬で、嫌な予感がした。


 俺は思わず立ち上がる。


 動揺しきった俺を見て、聖也は満足そうに笑った。


「オッケーもらった……。俺、今でも信じらんないくらい……。」


 聖也は、喜びを噛み締めているのか、声が震えていた。


 俺は必死で笑顔を作っていたが、正直かなり引きつっていたと思う。


 安心しきっていたせいか、思った以上にダメージが大きすぎる。


「おめでとう……。お前、今まで何回ふられたんだよ、ほんと……。」


 そして思ってもいないくせに祝福の言葉を並べている俺の声は、自分でも驚くくらいにか細かった。


 朱音は特に反応を見せず、頬杖をつきながら、無表情でおめでとう、とつぶやいた。


「サンキュー。じゃあ俺、今日は美咲さんと帰るから。」


 聖也はにやけた顔でそう言うと、俺たちに背中を向けて去っていった。


 俺は聖也の姿が見えなくなると、崩れるようにして、また椅子に腰掛けた。


 朱音はそんな俺の様子を見て、深いため息をついた。


「ずーっと思ってたけど、純くんさあ、美咲さんのこと、好きでしょ。」


 朱音の方を見ると、さっきと変わらず無表情で、こちらをじっと見つめていた。


「……はぁ?」


 軽く威圧してみるが、それはもう無意味だった。


 俺はもう表情をうまく作ることすら出来ないくらい、ダメージを受けていた。