俺、共犯者と秘密共有中。

 その後のことは、よく覚えていない。


 美咲ちゃんを聖也に送らせて、2人の背中が見えなくなると、俺は一目散に走り出した。


 このまま、俺の気持ちも吹っ飛んでしまえばいいと思った。


 広がり続けていた心のシミは、やがてシミではなくなり、俺の心全体を真っ黒に染めてしまった。


 ……あの時、聖也の様子ですぐにわかった。


 そしてあの時、聖也の話を遮って、自分が先に言う事だって、出来たんだ。


 ……だけど俺には、そんな心ないこと、出来なかった。


 したらわかりやすい聖也がどんな顔をするか、考えただけでそれもまた苦しかった。


 家に着くと、すぐにベットに飛び込んだ。


「バイト、……辛いなぁ。」


 小さなつぶやきの後出てきた空虚な笑いは、真っ白な壁に静かに吸い込まれ、それが余計俺を悲しくさせた。


 美咲ちゃんは俺の、心のオアシス。


 バカみたいに単純な俺は、美咲ちゃんが居たから、なんだって頑張れた。


 そしてバカみたいに単純な俺は、美咲ちゃんはまだ誰のものでもないけれど、俺の胸の内は一生打ち明けることもなく、いつか誰かものになってしまったらと考えたら、それだけでもう、泣き出してしまいそうだ。