『あとから聞いたんだ。

その子は、彼の幼なじみだったって。

その子は彼のこと、なんでも知ってて、ずっと昔から彼のことが好きだったらしいの。

でも、彼が私を好きになったと知って、でも私が先輩を好きってことも知ってたから、フラフラしてると思って、私に喝入れてくれたんだきっと。』




「紗羅……」



『きっとね、あの時、彼のこと好きなのか聞かれて、わかんないとか答えてたらきっと、彼女をすごく傷つけてたと思う。だからやっぱり、自分の気持ちに素直にならなきゃなって思った。

彼と付き合った後も、実際しばらくは先輩のこと忘れられなかったよ。でも彼の私への愛を感じて、だんだん忘れられた。そのあとちゃんと、先輩にも思いを伝えたしね』




「伝えたの!?」




『うん、過去系でね。好きでしたって。やっぱり伝えたかったなと思って、伝えるだけ伝えて逃げちゃった。でも後悔はしてない。先輩にも、彼女がいたから』





「彼女がいたのに、先輩のこと好きだったの…?」