『やり方は中山くん、間違ってるけどさ。2人を好きになっちゃう気持ちは、少しだけわかる。私もそういうこと、あったから。』
「えっ」
『中学の頃、好きな人がいてね。先輩だったんだけど、ずっと追いかけてて、告白したいなって思ってた時に、他の人に告白されたの。その人、同じクラスだったんだけど、話したこととかもあんまりなくて。でもその人を見てたら、だんだん好きになっていっちゃって…。』
紗羅の声は、落ち着いていたけど、どこか切なげだった。
私はその紗羅の話を、うんうんと相づちを打ちながらゆっくり聞いていた。
『でもその時、ある女の子に呼び出されたの。彼のこと、好きなの?って。
私、とっさに好きだよって答えちゃったの。
先輩のこと脳裏に浮かんだけど、彼のほうが好きだって、いつのまにか思っちゃってた。自分でも気づかないうちに。
そしたらその子、彼を幸せにしてあげてねって、笑顔で言ってくれた。』
「そうなんだ…」
『でも、その子の目には、涙が浮かんでた。その子もきっと、彼を好きだったんだ。』
