その瞬間、ぐっと腕を引かれ、気づくと中山くんと唇を重ねていた。
「んぅ……っ」
思わず声が漏れ、カフェオレが流れていくのを感じる。
ゴクンと音がして、離されると思われた唇は離れず、それどころか私の口の中に中山くんの舌を感じた。
「んっ……!やっ…」
舌が絡まり、私は呼吸さえ苦しくなる。
必死に抵抗しようと中山くんの胸を押すが、びくともしない。しかもキスのせいなのか力があまり入らない。
「んぅ……っ、あっ!」
そのとき、中山くんはそっと私の胸を触った。唇は重なったまま。
「んぁっ、あっ、んんっっ…」
今までに出したことのない声が自然と出てしまう。
その瞬間、唇と腕が離された。
「っは……約束が違うじゃない……」
「早くって言ったのに、しないから、お仕置きだよ。じゃ、約束通り教えてあげる」
「結構でっ……」
『学校に残っている皆さん、あと5分で6時半、下校時刻となります。まだ残っている生徒はすみやかに…』
聞きなれた、大好きな山内さんの声がした。
「どう?違う男にキスされたあとに聞く好きな人の声は」
「……最低」
私は荷物を持って走り出した。
そのとき、どんっと誰かとぶつかった。
「わっ、びっくりした……あれ、平井?平井また下校時刻まで残って…」
「……山内さん…」
私は思わず、山内さんに抱きついてしまった。
「えっ、、ちょ、平井、平井っ」
「先生、今日、鈴浦さんと何話してたの?」
「えっ?あ、あぁ……鈴浦が引っ越すっていうから、住所変更届を出すように言ってたんだよ。そのうちに、話が盛り上がっちゃってな。鈴浦が引っ越す前の地元が、俺の地元でさ…」
それを聞いて、ほっとした。
私はゆっくり腕を離し、山内さんを見つめた。
「平井……どうした?」
「…ううん、なんでもない。さようなら」
「お、おぅ、さよなら…気をつけてな!」
再び走り出した。私の目からは涙がこぼれてた。
