春の桜の匂いがする頃、





「別れよう」






そう言われてるのは



一ノ瀬梨乃 イチノセリノ 17歳

特別可愛いわけでもなければ、

特別ぶさいくというわけでもない、

ごく普通の女の子






1つ年下の彼の

長野駿 ナガノシュン 16歳

に突然の別れを告げられた。








梨「どぉして?ねぇ、なんで!?」



駿「どうしてもなにも、

もう俺には無理。」





梨「やっぱ、梨乃じゃだめやったんやね 」



なぁんだ。

無理って…

私のこと結局面倒くさくなっただけじゃん。

まぁ。

年下だし、仕方ないのかな…。




駿「ごめん、けど、別れても、友達でいたい」



なにそれ!!

意味わかんない。



梨「ふざけないで、友達なんかなれるわけないじゃん…」


駿「そうだよな、ごめん。」



梨「はぁ…ごめん、ちょっと1人にして?」



泣きたかった。

目頭が熱い。

駿の前で泣きたくなかった。



駿「わかった、あっちの部屋いるから」

ガチャ



バタン


梨「うっ…うっ…」








私は、声を押し殺しながら、

思いっきり泣いた。

私は彼が本当に大好きだった。

なんでよ…せめて理由を教えてよ…。








年下の彼は自分が気にくわないことは

力でねじ伏せるような奴だった。

浮気して、私にバレたときは、

私を殴って、蹴って、そんな奴だった。

私は泣くことしかできなかった。

遊ばれてるんだってわかってたのに、

それでも私は今まで離れられなかった。

依存したんだ。

駿に…








考えていたらいつのまにか寝てしまっていて、

気がつくと外は薄暗くなっていた。

やばい。





梨「あれ?もぉこんな時間。」



時計を見ると19時をさしていた。


だるくて重い体を起こし、

自分の荷物をまとめ、

駿のいる部屋へ行った。




梨「駿?」




駿もソファーに横になり、

いびきをかきながら、

爆睡していた。

本当に自分勝手。

あんたは私と離れることに

なんとも思ってない。

もぉいいや…。

言うのも疲れた。







ピロン





ん?

駿の携帯だ。



携帯の画面には、


淳志 《おぃ、ばか駿ー。》


と表示されていた。

淳志さんだ…。


萩原淳志 18歳

淳志さんは同じ中学の先輩だった。

私と同じ名前の彼女さんがいた。

見た目は本当に顔が整っていて、

中学の頃は結構荒れていた人。

駿と仲がいい。



梨「駿、淳志さんからメールきたよ」



駿「うーん…適当に返しといて」


と言ってまた夢の中にいった。


はぁ。


なんで私が!?

でも淳志さんに悪いし、

面倒くさいとおもいながら、




《淳志さん、すいません、駿今寝てるんです(泣)
起きたら連絡させますね(^^)》

と淳志さんに送った。

そしたら


淳志《あれ?梨乃?

なにあいつ寝てんの?》




梨乃《はい、一応起こそうとしたん

ですが、起きなくて汗

あ、あと、色々あって

別れました。

色々お世話になりました。

ありがとうございました。》





淳志《え?お前ら別れたの?

俺と一緒やな。》





梨乃《えっ!?!?

淳志さん、別れたんですか?

あ、そういえば、急に

どうしたんですか?

急用なら無理矢理でも

駿起こしますが…》





淳志《別れたよー。あいつ

駿を狙ってるみたいやけどな。

あー、別にきにせんでいいよ?

暇やけ話相手してもらおうと

思って連絡しただけやけ》





梨乃《え…駿を狙ってるって…

ならよかったです。》





淳志《ここ最近、

駿呼びだされるようになったろ?》








あ…そう言えば最近よく呼びたされてるな…

その度に、一人でって…

もしかして、私が邪魔だったから?

二人きりになりたかったから?

莉乃ちゃんはいい先輩と思ってたから、

そんなこと全く気にしてなかった。

淳志さんもいるし、

莉乃ちゃんにかぎってそんなことはないって…


梨乃《あ、はい…

最近はよく呼びたされてました。》





淳志《だろ?

ま、駿は気付いてないみたいやけどなw》


ズキッ


莉乃ちゃんは

大好きな先輩。

お姉ちゃんみたいな存在だった。

ちょっと裏切られた気がした。







淳志《なぁ?連絡先教えて?

別れたんなら、

駿もなんも言わねーだろ

話相手なって

俺ずっと暇だからw

梨乃は後輩ちゃんやし、》








梨乃《あ、いいですよ!


これ私のメアドです(^^)》




淳志《ありがとう!

じゃあ、またな》






淳志さんに連絡先教えちゃった。



駿「あれ?梨乃。淳志さんとメールしてんの?」



梨「もう終わった。

暇だったから、

話相手してほしかったらしいよ!

それで連絡先きかれたから

教えたの」





駿「ふーん。

淳志さんはいい先輩やけなぁー」




梨「うん。

はい携帯!

一応起きたって淳志さんに

連絡してみたら?」




駿「そうする。」

梨「じゃぁ私帰るから。

荷物もまとめたし!

今まで幸せにしてくれて

本当にありがとう

さよなら。」





どんどん目頭が熱くなってくる。



駿「…」

ガチャ



バタン



梨「うっ…」

溢れ出す涙をぬぐいながら

私は歩いて帰った。



この時は思ってもみなかった。




最高の仲間に出逢えるなんて。