「偉大ねぇ……アホらし」



とてつもないペースで話してる歴史の先生は黒板と向かい合っており、寝ていようが、ペン回しをしていようが気づかないようだ。


実際ほとんどの生徒は寝ているし、何人かは教室から出ていってしまった。


「僕もいこっかなー…、よし。」



そう思い立つと、僕は教室を出て中庭に向かう。向かう途中の廊下は、授業中ということもあってか、物音1つしない。


「ん…眩しいな」


今は5月。梅雨の時期でもないため、雲ひとつない晴天だ。


ベンチは、どこだろう……


周りを見ながら、ベンチを探してみると中庭の隅に1つだけある。


「うわぁ、遠いなー。」


中庭とは言っても、この学園の中庭は一般的なグラウンド並に広い。その隅にあるベンチを見つけられるのは、余程目が良くないと見えないものであり、そこに座る人はほとんどいない。


「この学園、ちょいと広すぎる気がするんだけと…ハァ」



そのちょいと広すぎる学園、-鳳凰学園-は、人間界最大の魔法育成学園である。初等部から、大学院まである学園の広さは計り知れない。全て回るには1日駆けずり回ってもたりないだろう。

その学園の中等部の1年・Cクラスに在学している、神谷 優吏 -カミヤ ユウリ- (♂)は、ベンチに寝転がりぼんやりしていた。


「ってか、あんな授業学ばなくてもわかるのによ」


優吏は幼い頃から好奇心が旺盛で、本が好きなこともあり、高校生3年レベルの内容が全て頭の中に入っていた。


「こんなことなら、もっと上のクラスに入ればよかったかも……なんてな」


この学園は、A・B・C・D・E・F・Gと、7クラスに別れておりAの方から授業レベルが高くなっていた。バッチにより、見分けがつく。上から銀、銅、青、赤、緑、紫、黒となる。さらに、Aクラスにの上には Sクラス が存在する。バッチの色はもちろん金である。金のバッチを付けられる人は、学年でも1人いればいいほうなレベルのため基本的に学年は関係なく纏められている。


「ふぁ〜…日差しがいいかんじで眠くなってきたなぁ。…お休み〜」