昼の時間が終わり、内心で大きく溜息をつく。
表はにこやかに、取り繕って入るけれど。

「なぁんか今日のカスミちゃんはらしくないね〜」


こうして気付くものもいる。
友人と呼べるか否かはさておいても、親しさだけで言えば確かに友人のそれなのだ。


……そこは、嬉しいけど。


「…………。桜宮。今は授業中です……」

呆れ気味に小声で伝えるが、彼には伝わらない。
もー、人が心配してんのにーと緩いながらも怒っているようだった。

私的には桜宮のレアな怒り顔より、桜宮の前にいる教師にハラハラする。


私の席は窓側の一番後ろで、桜宮は中央列の三番目。桜宮がこちらを見るには後ろをむかなければならずそうなれば前への注意が散漫になるのも、必然だ。
けど。

……そもそも授業中にこっち向くから……なんで私が冷や冷やしてやってるんですかね……。


……バカバカしくなってきた。


ちょっとー!という声につられた教室はにわかに賑やかさを見せていた。