いつも通り、一通り言い合いを聞いた後にニコッと笑った綿貫がぱん、と手を叩いて乾いた音を響かせる。

「ほら、そろそろメシ食おうぜー!」

机に置いてあった白井たちの弁当を本人に押し付けた。
何度も見たものだ、所有している人物を間違えない。




そうして、なんとか昼飯にこぎつける。

「あ、雪蓮ー!それうまそー!」

言い終わるや否や、ぱくり。
桜宮は白井の弁当箱に入った厚焼き卵を笑顔で頬張る。

その瞬間の白井の切なそうな顔と言ったら。ざまぁ。心の中ででそう呟いた。


「ゆきれ……。えっと、うちのおふくろが作ったやつでいいなら、食うか……?」

救いの手を差し伸べるのはいつも綿貫で。

「……!恩にきる……!」


嬉しそうな声でそういうまでが、いつもの流れ。

要するにお約束、だ。



「……仲良いですよね」

ぽつり、と引き気味ながら苦笑して言う。するとそれを聞いた桜宮が楽しそうに、それはそれは楽しそうに手でハートマークを作って二人をその中に写す。



「……きもちわる」

本気でそう口にした。