「西中から来ました、大山駿です。野球部に所属しています。よろしくお願いします。」
クラスでは一人一人挨拶が行われる。
私のとなりにいる大山と言う人は、もう野球部に所属しているらしい。
ってことは、推薦。ってことは、強い。
「…ねぇねぇ、」
「…なに。」
「大山はポジションどこなの?」
「…ピッチャー」
その言葉にぴんっ、背筋が伸びる。
「私も!ピッチャーやってるんだ!!」
「…へぇ。」
「にしし、大山はどんな球投げんの?」
「次、君の番だよ。」
「は?球種の話してんだけど」
なんだコイツ、話通じないのか!?
「──五十嵐さんっ!!次は貴女よ!!」
担任の女教師の声に驚き飛び上がるように椅子から立ち上がった。
ぽかん、と教室にいる皆が何事だと見つめる。あれ、私やっちゃった?
「自己紹介。」
隣から呑気な声が聞こえる。
「あ…片山中から来ました!!五十嵐未来です!!!野球部に所属してました!!ピッチャーです!!!あざっした!!!」
にししっ、と笑い拍手を待つ。けれども拍手は起こらない。皆、ぽかんとくちをあけ私を見つめる。


