「…徹?」
「うん、摂津徹。捕手。」
その言葉にコクりと頷いた。
コイツ…表情が分かりにくい。てか無表情。
「じゃあ、あの人ってすごい?」
「は…?」
「僕、あの人が載った雑誌みて入学したんだ。」
徹はシニアから騒がれていた天才捕手。実力は確かなもので、よくマニアの雑誌にとりあげられたりしていた。
「すごいつーか、天才だよ徹は。」
野球の神様に愛された天才。
「そう。」
あ、笑った。
自分の言葉に満足そうに微笑んだ。
「それだけ、じゃ。」
ヒラヒラと手を振り、背中を向ける。
ん、ちょっと待て。
「お、…おいっ!!」


