誰かが呼んでいる気がした。

遠くからうっすらと聞こえる。自分の意識が少しずつ取り戻していく。

あれ、なんで寝てるんだ…あれ。



「────未来!!!」



グイッと腕を掴まれ軽々と持ち上げられる。掴まれた腕は凄まじい痛さ。

「っ…!」

「…お前っ!!」


目を開ければ、そこには、懐かしい顔。
何度も瞬きをして、幻ではないかと確認する。

切れ長の二重も、鼻筋も、唇も、私の知っている摂津徹だ。


でも、何でいるんだ?




「徹…?」

「寝ぼけてんな、お前…なんでっ、」


泣きそうな顔になる。辛そうで、苦しそうで
そんな顔させたくないのに。