オレンジの世界


「その人は…
好きな人じゃ、ないの?」




「………もう、忘れちゃった。」


「え?」

瀬良君がひどく弱々しい声でつぶやいた言葉は
風にかき消されてしまった。


「結菜ちゃんは?好きな人いないの?」