オレンジの世界


「ちょっといい?」

「うん。」

緊張した面持ちの男子生徒は
私を渡り廊下までつれだした。


「えっと…俺、隣のクラスの田中っていいます。」

「うん。」

「体育のときとか、いつも明るい落合さんのこと気になってて……。
よかったら、付き合ってくれませんか?」


……いつも明るい、ね。

「今は…あんまりそういうこと考えられないんだ。ごめんね。」