好きやねん

(あ、名前きかんと…)

そう思い、緊張している声を
がんばって振り絞った

「あ、あの!名前なんていうんですか?」

すると顔を上げて

「なんでそんなに緊張してるの…
俺は矢野 歩高。
同い年なんだから緊張すんなよ」

そういうとフッと笑った。

(あ…笑った…)

急に笑われて少し戸惑ってしまった

「あ、ありがと!それもそーやなー!
あ、うちは藤原 美波!
よろしくな!」

「関西弁はなすんだなー
まあよろしくー」

またそういって笑うと本に目を戻してしまった。

(意外やなぁ…)

笑える人なんやな…なんて失礼なことを
うちは矢野…に対して思っていた。