俺は耳を疑った。

(だって、あいつは遥と…)

この幸せそうな藤原を見てると、
どうやら藤原は何も知らないようだった

「…いつから付き合ってるの?」

「中2の時から!引っ越す前に
彼方から告白してくれたんや!
めっちゃ嬉しかったなぁー」

恥ずかしそうに頬を赤らめて
それを隠すように手で顔を覆っていた。

「そうなんだ…幸せそうだね…」

俺はたぶん疑問を抱えたままの笑顔を
している。

でも、

「ありがとう!
うち、今めっちゃ幸せやねん!」

そんな俺には気づかないような
満面の笑みで藤原は微笑んでいた。


だからー…

「よかったな」

一ノ瀬と遥のことを藤原に
伝えることはできなかった…。

(あんなに幸せそうなのに…)

余計に一ノ瀬を許せなくなった。