「あの…氷河さま。さっきの…その…」

「ああ~…コホン。そうだな。千夜の意見を聞き入れてやらないこともないが」

照れまじりに言う氷河を見つめ、月那は悲しげに微笑んだ。

「ごめんなさい。私は氷河さまのお子を産めません」

ハッキリした声だった。

拒否されるなど思ってもいなかった氷河は目を見開く。

「な…なぜだ!?身体の具合でも悪いのか?」

「違います。恐れ多いんです。使用人の私なんかが…氷河さまのお子を身ごもるなんてゲホゴホッ……幸せすぎて、きっと死んでしまいます」

「馬鹿!幸福で死ぬやつがあるか!」

氷河は月那の頬を両手で優しく包み込んだ。


「俺を受け入れろ。お前を愛してる」


月那の顔を固定し、逃げられないようなキスを落とす。

愛の情熱を教え込む口づけは激しく、息すらできない。

気づけば月那はポロポロと涙をこぼしていた。


「なぜ泣く?慣れない口づけで苦しかったか」

「ちが、ケホッ!うれしくて…!氷河さま………だいすきです」

瞳を潤ませ、頬を真っ赤に染めて氷河の顔を直視する。

月那は頑張った。

「本当に、ホントにホントに、私なんかで…いいのなら……ずっと、氷河さまを愛していたいです」

言い切ると、ゆでだこ状態で氷河の反応を待つ。

と――。


「ああっクソ!」

「ふあっ!?」


出し抜けに氷河が倒れ込んできた。

そのままギュッと抱きしめられる。

「今すぐにでも、俺のものにしてしまいたい…!」

重なる身体。

熱い吐息。

全身で氷河を感じ、月那の胸がドキリと高鳴る。