EGOISTIC憎愛デジャ・ビュ


「しゅ……く…ん」

「月那!意識あるか?もう大丈夫だぞ」

「あり、が……と」

敷きっぱなしにしてあった自分の布団に月那をそっと寝かせ、駿は立ち上がる。

「待ってろ。今このことを氷河さまに報告してくるからな」

「だっ、め…!!」

氷河に報告と聞いて月那は顔色を変えた。

行かせまいとしてギュッと駿の服を掴む。

「氷河さまには……言わないで…」

「なんでだよ!言うべきだろ!」

「や……こんな私…知られたく、ない…」

あちこち蹴られてアザだらけになった自分を知られたくない。

それに…。


「氷河さまに…迷惑、かけたくない…」


涙目になって訴えればわかってくれたのか、駿が深い溜息をついた。

そして月那の傍に座り込む。

「前々からお前らの仲が変な感じなのは気づいてたけど…まさかこんな…。なあ、今日だけじゃないんだろ?いつからだ?正直に言ってくれ」

「氷河さまには…言わないで、くれる…?」

「ああ。約束するから」

約束と聞いて月那は素直に話し出した。

「二週間、くらい…前から……」

「マジか…。ゴメンな。もっと早く止めてやれなくて…」

悔しげに顔を歪めて駿は月那の手を握る。

「氷河さまに報告しない代わりに俺が守ってやるからな」


誓いは儚い。

悪魔はあざとかった。