「…あゆねぇ、顔真っ赤だよ?」


「えっ?!」


「本当にっ。まるで恋でもしてるみたいだよ」


クスクスと笑う玲也を睨む。


そんなに笑わなくてもいいじゃん。


…って、待って。


「恋?」


「うん、恋する乙女みたい」


「あゆねぇ可愛い!」


可愛いって言われて悪い気はしないけど…私が恋?


全然想像できないよ?


だって、黒狼の総長で波多野組の若頭で、仕事の時は男装する私だよ?


男を見て顔真っ赤にする私…。


…うん、ないね。


「…もしかして、姉さん恋したことないの?」


図星をつかれるとはこのことだろう。


だって本当のことだし。


今まで仕事や特訓ばかりでそれどころじゃなかったしなぁ…。


まず、恋が何かもわからないような奴ですから。


「図星…みたい」


「はぁ…。それじゃぁ、余計に気づかないね」