「風つよっ」


屋上の扉を開けると肌に当たる風。


コンクリートの上に寝転び、空を見上げる。


あの日から私はおかしくなってしまった。


白龍ファンから呼び出された日に見た光汰の真剣な顔が忘れられない。


そのため、倉庫で会っても顔が見れない上に、なぜか胸がぎゅーっとなる。


今も光汰から逃げてきたところだし。


抱きついてこようとしたから避けたら、悲しそうな顔するからっ!


つい〝柚瑠〟の仮面が外れてしまった。


今までこんなことなかったのに…。


この前は気づかないようにしてたけど、もう気づかない振りは無理。




光汰を見るとドキドキする。




でもなんでだろう?


戦っている時とは違うドキドキ。


この意味がわからない以上、光汰とは会えない。


その気持ちのまま柚瑠にはなれない。


それは私のケジメ。


ふぅ…っと息を吐き、目を瞑る。