「俺はチャラい見た目からバカやと思われてるからな。バカやと思うてる奴らには負けたくないんや」


光汰にそんな思いがあったなんて…。


知らなかったとは言え最低だ。


「ごめん…」


「本当のことやしな!本当の俺を知ってくれたらもういいんや!」


ニッと笑うその笑顔はどこか嬉しそう。


俺が…〝私〟が本当の光汰を知ったからかな?


それだと私も嬉しいな。


キーンコーンカーンコーン。


って、チャイム鳴ったじゃん!!


はぁ…結局授業出れなかったし…。


「やっば!龍哉待たせてるんやった!ほな、また後でな!」


「ちょっ、光汰?!」


行っちゃった…。


あいつ足すっごく早いんだけど。


私も早く戻らないと、轟がいつ動くかわからないしね。


っと、いつの間にか戻ってるこの口調早く戻さないと。


「うっし!」


柚瑠としての任務を果たすべく、〝俺〟はここにいるんだ。


こんな胸が熱い理由を考えてるヒマはねぇ。


早く教室に戻って任務を続行しよう。


そう心に言い聞かせるが、教室に戻る足取りが軽いのは気のせいだろう。