柚瑠の姿のまま、片手に銃を持ち、手すりを乗り越えて1階へと降りる。


私に気づいたのか、息を呑むのがわかった。


私はゆっくりと顔を上げ、未だに動揺を隠せていない男に視線を向ける。




「ねぇ、族相手に拳銃なんて卑怯じゃない?」




男の姿で女口調ははたから見たらオカマに見えるだろう。


だけど、もうすぐ正体もバレるんだ。


気にする必要はない。


それに、今の私は〝亜柚菜〟であって〝柚瑠〟ではないのだから。


「ゆー…くん?」


いつも優しい声で呼んでくれるね。


だけど、今はどこか戸惑いが混じっている。


「…ごめんね。平良 柚瑠は本名じゃないんだ」


ごめんね。


あなたにそんな顔をさせて。


だけど、この数日間、楽しかったのは本当だよ。


ありがとう。





そして…ごめんね。