ドアを開ければ、そこに冬樹はいた
いた……見つけた……
「…………なんでお前がここにいんの?後夜祭、始まるぞ?」
「……探してたの」
「は?探してた?……あぁ、斉藤のことか?斉藤なら見てないぞ」
窓から外をずっと見て、あたしの事を見てくれない冬樹。
ねぇ、なんで見てくれないの?
違う、違うよ……探してたのは、冬樹だよ……
でも、冬樹を目の前にしてその言葉が出てこない
「……ち、千夏」
「戸田?戸田ならもう外にいるぞ。早く行けよ」
千夏じゃない。千夏のこと探してない。
言わなきゃ、言え!!
でも、あたしの口から出た言葉は……
「……うん。ありがとう」


