《ご安心ください。私の【声】は、あなたの精神に一方的に語りかけているだけです。相手の思考が私に伝わることはありません。ですが、わずかに残る視覚と聴覚で、あなたの考えを察するくらいはできます》
遠回しに『顔に書いてある』と指摘され、頬が熱くなった。
くすくすと涼やかな声が洩れる。
それが笑い声だと気付くのに、しばらくかかった。
わりと気さくな姫君らしい。
ただし、柚月には一抹の不安がよぎった。
「それって、大丈夫なんですか?」
薬になると副作用が心配だった。
しかも人間の運動機能を著しく低下させるなら、慢性的な副作用があるのではと不安を覚える。
だが、当人は何でもないことのように、さらりと答えるだけだ。
《全くない、とは言いきれませんが、適切な処置をすれば反動は小さくてすみます》
「そ、そうじゃなくって!」
論点がずれていることに気付き、柚月は声を荒らげた。
しかし、すぐに周囲の静かな空気を思い出し、おずおずと訊き直す。
「あの、お役目って、そんなに大事ですか?」
柚月には、わからなかった。

