長い廊下に沈黙が落ちる。
遠くから複数の笑声が響いてきた。
誰も好きこのんで、この格好をしているわけではない。
諸事情により、いつでも俊敏に動ける機能性を重視した服装でいたいのだ。
とはいえ、正直に説明しても理解されないことは百も承知である。
面倒くさい方向に話が転がったので、柚月は窓の外の景色を眺める。
ああ、空が青いな。
グラウンドでは運動部のかけ声が聞こえてきた。
陽が長くなってきているから、まぁ、多少は遅くなっても大丈夫だろう。
心配性の兄に、今からメールをしておくか。
柚月がおもむろに携帯電話を取り出せば、長谷川がたまりかねたらしく声を荒らげた。
「明後日の方向を見ないでください! そこは、嘘でもごまかすところでしょう! っていうか、校内での携帯電話は使用禁止です!」

