暗い。怖い。痛い。
やめて!お願いやめて!もうこれ以上私を殴らないでっ...!助けて、誰か助けてっ!!
お願いー!
『一緒に行こうぜ』
ーえ...。
貴方はだれ。私の手を、引いてくれているのは誰?冷たい牢獄から助けてくれたのはー誰?
『お前、名前は?』
『ーーー』
振り返った少年が問う。でも、ゴメンね。私声がでないの。ゴメンナサイ。
『そっか、声でないならしゃあねぇか。じゃあ、オレ名前は「ユウキ」よろしくなっ!』
察してくれた少年に嬉しくなって、頷こうとしたけど...ダメ。そう思って私はピタリと止まった。ほどなくして、少年の動きもとまり、私へ振り返る。
『どうした?』
私と一緒にいたら、ダメ。殺されちゃう...!!
『!』
どうにか身振り手振りで伝えようとしてー、断念。少年はこういうことには鈍いみたい。鋭いのか、鈍いのか、分からない人。
『よくわかんねーけど、安心しろ!今から行くところは、皆お前のような奴等ばっかだから!』
そう言ってまた繋いでくれた手の温もりは、温かくて、心地よかった。彼を信じてみたいと思うようになった。彼に、ついていきたいと思うようになった。
そして、
『あ・り・が・と・う』
『えっ?あ、おーよ!』
口パクで伝えた気持ちさえ汲み取ってくれる彼を、愛したい。彼に、愛されたいと願い始める。
それが私、サラと、彼、ユウキの出会いで、私の運命を変える出来事だった。