私の動きを遮っているのは西谷先輩の手。 虎『どこに行くつもりだ?』 低音ボイスが心地よく胸に響く…… っとか言ってる場合じゃない! 私は気付かなかった。 いつの間にか周りを囲まれていた、という事に。 どこに行くつもりだ?ーー ーーそりゃ、当たり前に 「遼の所に行くんです。」 チッ…。 ーー今舌打ちしたの誰? 私の耳は目の前の人だと警報音を鳴らす。 その人の顔は眉間にシワができていて 目が必要以上に細くなっている。 『お前、遼の女か?』 顔の割に自信のない声で、目も伏せている。