「……おそらく、睡眠栄養不足から来る軽度の熱中症です……」
そんな声で、私は目を覚ました。
気付くと、ベッドに横たわっていた。
ここは、どこ――――?
ボーッとした頭で、辺りをキョロキョロと見回していると、横にあったカーテンが開けられた。
「あら、目を覚ましたのね」
保健室のおばちゃん先生、依知川(イチカワ)先生がニッコリと微笑んだ。
ここは、保健室だったのか…。
私、何でここに―――?
「屋上で倒れたって、男の子が魔法で運んで来てくれたのよ。魔法で人間一人運ぶのって、なかなか難しいものよ。あの男の子、かなり力持ちさんなのね」
依知川先生が感心しながら言った。
「でも…あの時間なら、きっとあの子、授業サボり組ね」
依知川先生が困ったように笑いながら付け足すみたいにそう言った。


