次の時間、私は授業をサボって屋上に立っていた。
今日は一日中、ここにいたい―――そう思ったから。
「おい」
いきなり声がしたから、びっくりしながらそっと扉の方を向いた。
境本くんじゃなかった。
「嶺岸くん…」
嶺岸くんだった。
彼も授業をサボったのだろうか。
「よっ」
彼は、私に軽く右手を挙げながら、そう言った。
「何でここに…?」
「あー、なんつーか、授業サボってきた。牧野は?」
「何となく…ここにいるだけ」
「ハハハ、何だよそれ
あ、隣良い?」
「別に良いけど…」
私が答えると、嶺岸くんは嬉しそうに笑いながら私の隣に立った。


