すると、嶺岸くんが、チラッとこっちを見た。
私、慌てて視線を逸らす。
「…陽翔?
どうした?」
そして…嶺岸くんの視線の先をじっと見た君。
その視線に見つめられた私は、ドキッとした。
…しかし。
……プイッ!
君……境本くんは、視線の先に私がいたのを見つけると、気まずそうに顔を背けてしまった。
一瞬、悲しくなった。
でも、駄目。
境本くんには、彼女がいるんだから。
私がでしゃばって、二人の邪魔して、ついには境本くんも取っちゃいそうになる。
二人を突き放しちゃ……愛し合ってる二人を突き放しちゃ、駄目なんだよ。
「うぅっ……くっ…」
私は一人、賑やかな声が響く教室の中で泣いた――――。


