今……茄月の、ダイヤモンドみたいに綺麗で澄んだ瞳が、少しだけ潤んでいたような気がした。
「茄月…」
必死で、涙を我慢してたんだな。
俺の前では泣かまいって、迷惑掛けたくないって……。
そう…思ったんだよな?
「そんな事……我慢しなくて良いのに」
失恋は、誰にとっても、きっともの凄く悲しくて、辛い筈だ。
中には、ショック過ぎて、死にたくなる奴もいる筈なんだ。
今すぐ、思いっきり泣きたい筈。
悲しくない訳が無い。
だって悲しくないという事はつまり、その人を本当に愛していないから。
本当に愛しているのであれば、絶対に、この世の終わりみたいに全身全霊で泣きたくなる。
でも、それなのに、俺の前で必死で涙を堪えて最後まで笑顔だった茄月。
凄く、カッコいいと思った。
恋人として好きな訳じゃないけど、俺は俺なりに、茄月の事ちゃんと好きだから。
茄月の気持ちに、応えてやれなくて、悪かったと思ってる。


