「えっと、あの…もし良ければ、名前、教えてくれるかな?」
私がおずおずと尋ねる。
…って、これはいきなり過ぎたかな。
でも、彼は顔を赤く染めたまま、私の方をまっすぐ向いて、
「…境本優多です」
…と、大きくはっきりした声で答えてくれた。
一応、「私の事わかる?」と自分を指差しながら聞いてみた。
境本くんはこくりと頷いた。
そして「…牧野さんだよね」と確認するように聞いてきたから、大きく頷いた。
その時、休み時間終了の鐘が鳴った。
境本くんにバイバイと軽く手を振ると、私に微笑んで軽く手を振り返してくれた。


