「まあ皆、落ち着いてよ」
それぞれが興奮している中で、私は慌ててそれを宥める。
しかし、皆の興奮は収まらない。
それ所か、更にイライラを増したようで
でも鈴は、溜め息をつきながらイライラを何とか抑えたような声でこう言った。
「…佳奈、お人好し過ぎだよ。
何、じゃあつまりは、この事は全部佳奈が悪いって事なの?」
「そう言う訳じゃないけど……
…でも、あまり境本くんを攻めないで。
境本くんは、何も悪くないよ…
元はと言えば、一方的に避けてる、私が悪いんだから…」
私がこう言って苦笑いすると、鈴は呆れたような顔をしながらも、「…分かった」と頷いてくれた。
槇と藺子も、「いきなり怒ってごめん」と、私に謝って来た。
だから、私皆が好きだよ…。
私は、真顔で黙りこくっている三人に向かって、“大丈夫”の気持ちを込めて、精一杯の笑顔を向けた。


