も、もぉーーっ!!
驚かせないでよね、本当に。
「えっ、でも悪いよ……」
「気にすんなって。じゃ、俺、荷物持って来るからさ。じゃ、そこで待ってろ」
嶺岸くんはそう言って立ち上がり、保健室の扉を開けて瞬間移動してあっという間に消えてしまった。
嶺岸くんが出て行った後、私は複雑な思いに覆われていた。
この気持ちは何?
何で…嶺岸くんの事で…こんなにもドキドキするの?
そんな時、ふと出た名前に、思わずドキッとした。
境本…くん……。
もう、私の事何か忘れちゃったかな。
境本くんの事は、今でもまだ許したつもりは無い。
…そういえば、噂によれば、境本くんは、あれからあの日私が見てしまったカッコいいショートカットの女の子とよく放課後や休日で会っているそうだ。
このまま…夏休みに入れば……。
もう、私はあなたの心の中にいないのかもしれない。


