「俺に感謝しろよ」とドンと自分の胸を叩き、満面の笑顔でケラケラと笑った嶺岸くん。
「…っていうか、何よ、“重い”って!
どうせ、私は重いけどさ」
「言った事、間違って無いじゃん」
そして、更に笑うこの男。
何て、憎たらしいんだろう。
でも、こんなにも胸がドキドキするのは何でだろうか?
嶺岸くんは、ただのクラスメイトであって…特に何とも思わない筈なのに…。
「…おい」
振り向くと、そこには真剣な表情の嶺岸くんが私をまっすぐ見つめていた。
「な、何…?」
ドキッと高鳴る心臓。
しかも、嶺岸くんは表情何一つ変えずに私を見てくる。
ち、近い!
グッと目を閉じた。
「……お前、何で目瞑ってんの?」
「は?」
私はハッとして前を向くと、呆れた表情の嶺岸くん。
「何考えてたの?
俺は、家まで送ってこうかって言おうとしてたんだけど」
軽くニカッと笑った嶺岸くん。


