―――何時間位経ったんだろう。
微かに、私の耳に誰かの声が届いた。
低くてちょっと皮肉っぽく聞こえるその声の主は………
「おい…」
その声で、私はゆっくりと目を開けた。
やっぱり。
私を呼んでいたのは、嶺岸くんだった。
「大丈夫か?」
嶺岸くんが心配そうに聞いてきた。
「うん。大丈夫だよ!!」
嶺岸くんに向けて明るい笑顔で、大きくピースサインした。
それにつられたかのように、嶺岸くんも笑った。
「それなら、大丈夫だな」
嶺岸くんはにやっと笑って言った。
聞くなら、今だよね。
「あ、あの」
「ん?
どうした?」
「あの…私を運んでくれたのって…まさか、嶺岸くん?」
「…あぁー、思い出した。
あん時、お前がいきなり倒れたんで、俺が保健室に連れてってやったんだ」
え…?
嶺岸…くんが?
「…お前、相当重いのな」
「は?」
「運ぶの、大変だったんだぜ」


