「はい、じゃあ最後に時間割配るから、受け取った人から各自1時間目の用意して休み時間でいいわよ〜」
そう言って小梅ちゃんは1番前の席の男子にプリントを頼む(と言うより押し付ける)と、教室を出ていく。
配られた時間割を見て、わかってはいたことだったが、先生の名前がない事に少し落ち込む。
一年の頃は、まだ彼は私たちの学年にいたし、接点も多かった。
しかし二年に上がると、彼は下の学年の担当、担任となり、私たちの学年のどのクラスの授業も持たなくなったので、接点がほとんどなくなってしまった。
「(もしかしたら、その原因の1つは私なのかもしれないんだよね)」
一年生の頃、私は後先考えずに先生にくっついていた。
もはや私が彼を好きなことを、知らない人はいないんじゃないかってくらいに。
そのせいで先生と私が話すと、周りの先生も、良くも悪くも注目するようになったことがあった。
今思えば、大変な迷惑だったに違いない。
実際、一時は完全に突き放されたこともあった。
さらに二年では学年が変わったことで離れたこともあり、私も先生の周りをほとんとうろつかなくなった。
初め、クラスメイトなんかは驚いていたけれど、今でも私が先生を好きでいることを知るものはほとんどいないだろう。
ましてや、付き合っているなどと思う者は余計にいないだろう。
唯一、奈緒以外。
もしもあの日、私が先生に告白しなかったら、私たちはきっと一生互いの気持ちを伝えなかったと思う。
世間体的に考えたらそのほうがよかったのかもしれない。
それでもあの日、私はどうしても気持ちを抑えられなかった。
雨が降る、寒い冬。
切なげにに響く、あのピアノの旋律を聴いていたら、どうしても…。

