そんな事をしばらくやっていると、
「ほら席に着いて〜」
ガラッとドアを開けて担任が教室に入ってくる。
生徒たちは慌てて自分の席に着く。
「えっと、先日もいったけど、昨日新入生の入学式が行われました。今日対面式があるから、くれぐれも最上級生の自覚をーーーーー」
などなど、担任が述べる本日の予定を耳半分で聞きつつ、私は再び2年前の入学式の事を思い出す。
私達の学校は体育館の大きさと人数の関係上、入学式は新入生と先生方、父兄や理事長などの来賓者のみで行われる。
そしてそれ以外の二、三年生は翌日の対面式という集会で、一年生の軽い紹介を受けるのだった。
今の新入生と同じように2年前の春、私は先生と初めて出会った。
先生は昇降口のところで教室の案内をしていた。
ーー何組ですか?
それが初めてした先生との会話。
先生は憶えてないだろう。
会話とは言えないような会話ではあるけど。
すらっとした高い背に白い肌。
男性でありながらもサラサラとした黒髪。
キッチリと着こなされたスーツは、その整った顔立ちを、より引き立たせるものだった。
声をかけられた瞬間に私は、あぁ私は絶対にこの人を好きになる、と強く思った。
一目惚れを信じていなかったわけではない。
しかし、まさか自分がそれをするとは思っていなかった。

