「雪、今日お昼なんだけどさ、ハルと食べるからごめん!」


「あ、オッケー。奈緒も十分お熱いね〜幸せ者!」


「まぁね、じゃ!」




軽く手を挙げて、パタパタと奈緒はかけて行く。

ハルというのは奈緒の彼氏で、サッカー部の部長だ。

奈緒はその可愛らしい容姿から、彼氏がよく代わり、私はその歴代彼氏たちを知る唯一の存在だったりする。

そんな私から見ても、今の2人は相思相愛で、付き合いも長く、このままずっと続くことを願っている。

ハルこと櫻井春樹は、名前のごとく、春の日差しのように温かく、優しい人間だ。

なかなかの好青年で、奈緒と並ぶと絵になる。



奈緒の去った後を見ながらそんな事を思いつつ、さて私はどうしようかなと考える。

そしてふと、あぁ、今日は火曜日だったと思い出す。

月曜と火曜は4時間目に(一年生の選択科目で)音楽の授業があり、普段昼間は職員室にいる先生もお昼は準備室にいる。

そしてお昼も例外なく、少し遠い準備室には滅多に生徒もやってこない。

よし、先生の元でお昼をとろう、と思い立つと、お弁当を抱えて私も教室を急ぎ足で出て行った。