「あの、一つ聞いていい?」


フローラは口を開いた。





「何なりと。」


「どうして私達があの星に行く時、地球での記憶を消したの?」


「それはもちろん、あの星に行ってから地球でも思い出を振り返ってしまってはとても寂しいでしょう?」


「おじさんの思いやりだったんだ…。
でもどうして私の姿をバラに?」


「できるだけ地球の生活を思い出されてはいけないと思ったのです。
フローラ様の姿を見れば思い出す可能性も高くなりますから。」


「なるほど!」



「フランク様の名前も、思い出されてしまわぬよう、エリックと言う名前にさせていただきました。」






ーー全てこのおじさんの優しさだったのね…。




フローラは心に温かいものが込み上げてきた。








「それから、私は二人の事を試させていただきましたよ。」



「…え?」


「フローラ様が再び地球に来られた際、記憶を消させていただきました。二人はもう一度出会い、そしてもう一度恋をするかどうか。もちろん私の思惑通り、二人は結婚なさいましたね。」


「全部おじさんのおかげだよ!ありがとう!」

エリックはそう言ってまた抱きついた。





「困った事があったらいつでも来てください。私はいつだって二人の味方ですよ。」





男はそう言って、元の箱の中に入って行った。