「フローラ様、朝食の時間です。」




侍女のアマンダが入ってくると、フローラは目を覚ました。





「もう朝なのね…」





フローラは昨日の夜の事が頭から離れず、なかなか寝付けなかったようだ。





フローラが寝ぼけて部屋を出て行こうとすると、アマンダが慌てて引き止めた、





「フローラ様！お着替えが先ですよ！」


「あぁ、そうだったわ…」






フローラはまた、普段着のドレスを選んでいた。






「きっとエリック、赤が似合ってないって言おうとしたのかも…」







フローラが無意識に声に出してしまったが、アマンダはそれを聞き逃さなかった。




「どうしてそう思うのです？私はフローラ様の赤いドレス、最高だと思ってましたのに…。」


「い、いや！アマンダのチョイスが悪かったなんて思ってないの！…ただ…」


「…ふふ。フローラ様も女の子ですね！」





嬉しそうにアマンダは言うと、淡いピンクのドレスを差し出して微笑んだ。




「パステルピンクを嫌う男なんていませんよ。」


「ありがとう、アマンダ！」






そうしていつものようにフローラの髪をまとめ上げるアマンダ。




二人はフローラが来たばかりの頃よりもだいぶ仲が良くなっている。







「…何かアマンダって最初は話しかけづらいのかなぁって思ったけど、今になってはお姉さんみたい！
私、アマンダが侍女で良かった！」


「お姉さんだなんて…！私もフローラ様にお仕えできて嬉しいです！」


「敬語なんていらないのに…」


「それはいけません…私が怒られます。」


「だめかぁ…。」



「完成です！これでエリック様も喜びますよ！」





ハーフアップにまとめた髪にドレスと合わせたピンクのリボンを付けると、アマンダは嬉しそうに言った。





「アマンダ、いつもありがとう！」






フローラは嬉しそうに言うと、朝食に向かった。