好きになんか、なってやらない

 
「んで、帰ろうとホームに行ったら別の奴がいて。
 こんな時間まで仕事?なんて聞いたら、まだ会社に玲奈が残ってるって聞いたからさ」

「それでわざわざ戻ってきたんですか?」

「俺の玲奈が、一人で残ってると思ったら行くしかないでしょ。
 ってか、一人ならマシ。さっきみたいに、男と二人だったら嫌だったから」

「岬さんの私になったつもりはありません」

「って、そこを突っ込むなよ。次のセリフにキュンとしろ!」

「何がですか?」

「……はあ…」


私の返しに、岬さんはあからさまにため息をついた。

キュンとするとこなんてない。
べつに……そんな心配なんてされたって……。


「ってか、本当に川辺に何かされてない?」
「……別に何もされてないです」
「今の間は何?」
「……」


間を空けたつもりはない。
それに本当に何もされてないから……。

ただ……


「男の人のいい加減さを、再確認しただけです」

「は?」


下心見え見えの男は、決して信用してはいけないんだと……。