《よかった。凌太であってた……》
「なんでこの番号を知ってんだよ」


俺に名前を呼ばれた美空は、安堵のため息をもらしながら少しずつテンションが上がっている。

受話器越しで聞いた声。
この前会った時とは印象が変わる。


《ごめんね。押尾さんに無理言って教えてもらって……》
「……ちっ…」


くそ……。
勝手なことしやがって……。

この前飲んだ時も、なんとなく押尾さんは俺と美空をやり直させたいような口ぶりだった。
まさか、こんな手回しをしてくるとは……。


「で?何か用?」


なるべく冷静をたもって、電話をしてきた美空に問いかけた。

言いたいことなんて、なんとなく分かってる。
この前再会してしまったときに言われた、思いがけない告白。



(あたしっ……

 ずっと凌太が好きだったよ!)




もう二度と聞くことのないと思っていた
美空からの「好き」という言葉だった。