好きになんか、なってやらない

 
その日は、朝から真央がはしゃいでいたということもあり、すぐにその雑誌掲載ページは社内に広まった。

もとからオープンな関係だったけど、この写真を見て、本当に付き合ってるんだと実感させられている人たちもしばしば。
恥ずかしいから、速攻その雑誌を燃やしてほしい。


「玲奈」


7時を過ぎて、人がちらほら帰り始めた頃、凌太が私の席へやってきた。
振り返ると、凌太ももう帰るらしく、鞄を手に持っている。


「今日、押尾さんと飲んでくるわ」
「あ、そう」
「反応うすっ」


いつもの返し。
だけど、なぜかそんな突っ込み。

いちいち、社内でそんなプライベートな会話をしないでほしい。


「せっかくみんな、俺たちの話題で盛り上がってるから、言いに来たのに」
「やっぱりね。そんなことだろうと思った」


普段なら、誰かと予定があってもいちいちみんなの前で言いには来ない。
前もって伝えているか、あとでラインが来るとか。

こんな見せつけるように言ってくるってことは、そこに何かしらのたくらみがある。


「いってらっしゃい」
「ん」


だからこそ、にこりともしない冷静な対応で凌太を見送った。

案の定、周りからの視線を大いに感じ、それにすら気づかないふり。


ああ、もう……
取り残されるほうの身にもなってほしい。