「ねえ、やっぱり払うよ!」
「いいって。今日は誕生日なんだから、おとなしく奢られとけ」
結局、化粧品まで買ってもらってしまった。
しかもかなりの金額だ。
店を出て、やっぱりお金を出そうとしたけど、凌太は全然受け取ろうとはしない。
「けど、誕生日プレゼントはもらっちゃってるし……」
「いーの。それの代償は、べつでもらってるから」
「別って?………あ…」
いったい何のことか。
首をかしげた瞬間、にやっと笑った凌太を見て思い出した。
「変態」
「ごちそーさま」
予想外の昨晩の出来事。
せっかく忘れかけていたのに、思い出してしまった。
「ってか、その格好見てるとすっげーシたくなる」
「なっ……」
そして道端でのエロ発言。
その格好って、凌太がさせたんじゃないか……。
メイクはもちろん、凌太は人のクローゼットを勝手に漁って、数少ないワンピースを取り出しそれを着させた。
確かそれは、数年前、いっこうに男の気配を感じさせない私を見かねて、姉がプレゼントしたものだ。
まさか本当に、デートとして着る日が来るとは……。
「ね、見た?今のカップル、めっちゃ美男美女!」
「見た見た!男の人もカッコいいけど、女の人も背高くて似合ってたよねー」
ふと通り過ぎた女の子たち。
振り返ると、思いきり目が合ってしまった。
……え?
もしかして、うちらのこと言ってんの?

