好きになんか、なってやらない

 




「うわ……化粧品っていっても、こんなにあるんだ……」
「そー。ってか、お前、26年間どうやって女やってたんだよ」
「フツーに。ただそのままで生きてただけ」
「そうだよな」


やっぱり、26歳の女子として、化粧品にたいして無知というのはおかしいらしい。

それもそうだ。
普通の女子なら、遅くても20歳には目覚めているはず。


だけど私は、高校を卒業するころには、すでに男嫌いになっていて、
モテたいとか、男の人に可愛く思われたいとか、そういった思いなんてなかったから……。

化粧品とか、せいぜいリップくらいしか、手を出してこなかった。


「何か要望とかあるの?聞くだけ無駄だけど」
「とくには……。あ、だけど……」
「何?」
「どうせなら、この口紅と同じメーカーがいい」
「……ん」


化粧品にたいしては、まるで無知。

全部凌太に決めてもらおうかと思ったけど、せっかくこの口紅を真央がプレゼントしてくれた。

それなら、他の化粧品も、全部同じメーカーに揃えたほうが統一感があっていいように感じた。


凌太は一瞬だけ間を空けて頷くと、私を連れて一つの化粧品コーナーへと向かう。
同じような化粧品が並ぶ中、たどり着いたのは私と同じ口紅が並ぶ化粧品会社のコーナーで……



「………可愛い」



ぽつりと漏れた一言。

目の前には、美空ちゃんのポスターが大きく飾られていた。