好きになんか、なってやらない

 
初めてした、二人の合意のもとのキス。


一度目は、電車の中で起きた事故のキス。

あの時は、ただただ最悪といった気持ちで
唇を何回もこすった。

史上最悪な一日と……。
世界で一番嫌いな男とキスをしてしまったと……。

だから犬にかまれたと思い込むしかなかった。



二度目からは、岬さんからの勝手なキスの連続だった。

本意も読み取れなくて
どうして自分がキスされているのか分からなくて

最初は、しょせん女たらしの行動なんだと、怒りに満ち溢れていた。


だけど徐々に、自分の心に変化が出てきて
ただ嫌だと感じていたキスに、いつのまにかドキドキが生まれていた。


嫌い。
最悪。

そう思っていないと、このまま流されてしまうんじゃないかと思った。



その次のキスは、私からの一方的なキス。

別れのキスのつもりだった。
自分にけじめをつけるための……
いい加減好き勝手やってきた岬さんへの最後の悪あがき。

それに言ってたから……。


(今度は玲奈からキスして)


咄嗟にそれを思い出して、
目を丸くさせる岬さんの唇を、強引に奪った。