好きになんか、なってやらない

 
岬さんの、お決まりのセリフには何も相槌を打たず、再び線路へと向き直って電車を待った。


「シカトしなくたっていいじゃんー」
「ちょっ……」


グイと頭を引っ張って、コツンと自分のほうへと寄せられてしまっている。


「っ…やめてください」
「あ、照れてる」
「照れてないです!」


パッとその手を払いのけると、身の危険を感じて、岬さんから一歩離れた。


「ごめんって。んな離れないで」
「自分の身は自分で守りたいので」
「あたかも、人を危険人物扱いして……」
「私にとって、一番の要注意人物です」


ズバッと言ってのける私に、岬さんはくすっと笑っていた。


「……苦手なんです。あなたのそういうところが」
「え?簡単に触ったりすることとか?」
「それ含んで。女の扱い慣れてたり、自信満々に人に詰め寄ってきたり」
「硬派な男が好きなんだもんな」
「はい。だから私は……」
「でも俺は、玲奈に振り向いてもらいたいから。
 嫌だって言われても、とことん攻めるよ」
「……」


人が、自信満々なところが苦手だと言っているのに、懲りずに真っ直ぐと人を見据えながら口説いてくる。

もうこれ以上、何を言い返したらいいのか分からない。